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トッパンホールニューイヤーコンサート2022

トッパンホール ニューイヤーコンサート2022を聞いた。オールシューベルトプログラム。

何という時間だったのだろう。
東京という場は、こんなすごいものが企画される場なのか、と、その密度の濃さと質の高さに完全にノックアウトされた。

-神と悪魔に魅入られた男 フランツ・シューベルト- というサブタイトルにもあるように、シューベルトという作曲家の天上界の響きと悪魔的な世界を全身で堪能した夜だった。

少なくとも生演奏を聞くのは初めてだった『ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第1番ニ長調』と、最晩年の作品である『弦楽五重奏曲ハ長調』が見せてくれた世界は、他のどの作曲家でもなくやはり紛れもなくシューベルトの世界だった。

もしかすると、シューベルトの作品ほど奏者の質を問うものは無いかもしれないという気がした。というより、自身の体現、表現にしか興味の無い演奏家には極めて退屈な作曲家なのかもしれない。作品の本質に全身全霊で向き合う真の音楽家たちによって紡がれた音楽が見せてくれたものは、シューベルトが見ていたであろう生と死の世界だったように思う。

本当にすごいものを聞いた。
2022年最初の演奏会は忘れられないものになった。