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ピティナ・ピアノコンペティションに思う

2週連続でピティナピアノコンペティションの予選を聞いてきました。
E級に1人、D級に2人の3名がこれらのステージにチャレンジしました。

コンクールの類は参加する度に様々なことを考えさせられますが、今回はあまりに受けた印象が違ったのでその事について書いておこうと思います。

D級に関しては先週は参加者もとても少ない状況でしたが今週はグループ分けがされるほどの人数がいました。E級は先週、今週ともに同じ人数です。

なぜ人数の話を書いたかと言うと、昨日はD級とE級ではただの一度も誰もどちらの曲でもカットされなかったからです!

通常、曲が長くなってくるとカットされることがピティナでは普通です。会場を借りている時間で全参加者の演奏を聞かなくてはならないので、ある程度やむを得ない措置と理解はしています。でも、私も運営に関わる側にもあるので、様々な審査員の方々を見てきましたから、カットに関しては必ずしも時間の事だけではなさそうだということは感じていました。そしてそのことをとても残念にも思っていたのです。

運営に支障を来たす程参加者が多かったのなら仕方ないけれども、むしろ昨日の方が参加者は多い状況だったにも関わらず、選んだ課題曲が何であろうと(古典期のソナタやロマン期の作品だとしても)一切カットなしで全てを演奏させてくれた審査員の方々の判断は素晴らしいと思いました。そのせいか、会場の中に流れる空気感はいつものものとは違って感じられたほどです。

『カットしなかったら大幅に予定時間を超えてしまうのではないだろうか?』と一瞬気を揉みましたが、時計を見るとほぼ予定通りに終わりました。その時に、内心、『え?そうなの?今までのカットの嵐は何だったの??』ととても奇妙な気分になりました。

先週は、D級の生徒はバッハのシンフォニアですらカットされてビックリしましたから…。

今までにもひどいケースはいろいろ経験してきましたが、一番呆れたのは、本選で(全国大会進出者を選ぶ本選ですよ‼︎)、バンバンカットしまくり、D級、E級、F級の全てのグループで予定時間より20分から30分も早く終わるという異常事態が発生した時です。C級でもバンバン切られていて、結局全国大会の切符を手にした子は、たまたまかもしれませんが、短いバロックの作品を弾いた子達だったのです。

全体的に、適切なテンポより速くさっさと弾いたお子さんの方が点数が高かったようで、上位の入賞者が多かったように記憶しております。これは残念ながらどのコンクールでも見受けられる傾向ではありますが、この時は明らかに“さっさと弾いてくれてありがとう”の意味しか感じられず、選んだ曲にふさわしいテンポで弾いていても絶対的なテンポが遅めな曲は全てはじかれていました…。

またある時は、これも本選だったように記憶していますが、古典期のソナタを選んだ方が、再現部に入ったのにカットされなかったところ、一気に弾けなくなっていき、しどろもどろになり、審査員がカットせざるを得なかったという現場に居合わせた事もあります。
ピティナの審査の仕組みを良くご存知の指導者だったのでしょうね。『どうせ再現部はカットされるから、』という。しかし、こんな取り組みをさせる結果になるようでは何かがおかしいのではないでしょうか?

昨日のコンペは、長い曲が課題曲になっている上の級でも全部弾くことは可能であることを見せてもらったような気がします。

先週の開催地区では、初日はピアノの調律もされていず、明らかに狂った音のまま弾かされていて気の毒でしたし、ストップウォッチが作動しないということが審査員が着席してから判明し、そこから対応が遅れ、結局演奏開始時間がずれ込みました。でもカットのおかげでそれ程大きな影響もなかったようです(皮肉です😎)

一方昨日の地区は、副賞もたくさん準備されていて、参加者の意欲を刺激しがんばりをたたえたい気持ちが伝わってきました。さらにこちらは入賞者記念コンサートの機会まで準備されています!

なんというか、開催する側と審査員が見事にマッチした印象の2地区だったなぁ、と思った次第です。