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リサイタルを終えて

アメリカのテキサス州ダラスにて、リサイタルの機会をいただきました。ダラスでのリサイタルは、3回目になります。

バッハの平均律、モーツァルトのソナタ、ショパンの作品からノクターン、マズルカ、そして舟歌を演奏しました。

プログラムは自分ではなかなか選びきれず、一緒に勉強し続けている仲間たちに聞いてもらいながら決めました。

一曲が終わるたびにいただく拍手のあたたかさがとても懐かしく、とてもありがたかったです。
コンサート後、お客様たちがそれぞれ感想を伝えにきてくださいました。その中に、1995年の私のファーストリサイタルのことを覚えてくださっている方がいて、その時は後半のプログラムでグリーグのコンチェルトを演奏したのですが、その演奏が忘れられずに今でも覚えている、と言ってくださいました。

その方は私がアメリカにいた頃ピアノを弾いていたけれども、その後長いブランクを経て数年前に再開したのだそうです。他の方々も、ピアノであったり他の楽器であったり、本当に心から音楽を楽しんでいる方たちでした。
精神的に豊かな音楽ライフを楽しんでいらっしゃるからなのでしょうか、私にかけてくださる言葉の数々、あるいは質問の内容などがどれも通り一遍のものでなく、心からじっくり聴いてくださっていたのが伝わってきました。

忘れかけていた何かが薄っすらとよみがえってきます。音楽にとって一番大切なもの、それは演奏する側も聴く側にとっても中心にあるはずのもの。ギスギスした世界に暮らしているつもりは無いけれど、それでもなぜか薄らいでしまっていたかもしれないその感覚を少しでも思い出すことが出来て良かった、と心から思います。

あと一週間ほど、めいっぱい音楽漬けになってエネルギーをチャージしてから帰ります!