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対談を聞いてきました

「漫画を描く身体」
漫画家浦沢直樹×レッシュプロジェクト代表廣戸聡一という、非常におもしろそうな対談を聞いてきました!

私は漫画の世界にあまり興味を持つことなく今日まで来たため、タイトルを見た時に、身体理論と漫画がどう絡むのだろう?と不思議でした。

しかし冒頭で、滝沢氏が”ペンを持つ手と反対側の肩周辺を痛めたのが廣戸先生との出会いのきっかけ”という話が出てきて、「おっ!」と思いました。

漫画家さんがいかに壮絶なのか、というお話や、絵画と漫画は何が違うのか、そして海外のコミックと日本の漫画の決定的な違いなどについて伺っているうちに、今まで漫画を積極的に読んでこなかったことを本気で悔やみました…。

目の前で、ペンでサッサッサッとあっという間に人物を描いていく様を初めて見て、鳥肌が立つほど感動しました🥺

絵というものは、静止して切り取られた一瞬を描くのに対し、漫画はたとえ一コマだとしても、時間の流れを描いているということ。

だからこそ、漫画を描くということは、その前後の流れが分かっていないと描けないのだと。

漫画に縁がなかった私でも知っている『YAWARA!』で背負い投げのシーンを目の前で実際に描いて解説してくださいましたが、その前後をどこにどう描いているのかという種明かしは本当に感心させられました。

スポーツ漫画が流行るとそのスポーツをする子供たちが増えるのは、漫画が面白かったからというよりも、漫画からそのスポーツへの造詣が深くなるから、よりそのスポーツに取り組みやすくなるという廣戸先生のお話もとても納得させられました。

絵が絶望的に苦手な私は、漫画というものは、絵が得意な人がササっと描くものだと漠然と思っていましたが、とんでもない間違いであったと深く反省いたしました。

その一コマの絵に、魂を込め、動きはもちろんのこと、感情までをも込めていく作業は、大袈裟でも何でもなく”命がけ”なのだと思いました。
実際、漫画を描いていてペンを『持たない』方の肩を脱臼していらっしゃるのですから😵

漫画家は、「絵(技術)が上手いだけではつとまらない世界」だというお話を聞いていて、音楽家も同じではないだろうか?と。というより、同じでなければならない、と思いました。音楽界は技術を磨くことだけに教育が偏重していないだろうか?と。”ニセモノが多い”と常日頃感じてきた苛立ちの正体はこれだったのだ!と腑に落ちました。
漫画家の方のお話を聞いて、音楽家のあり方についても深く考えさせられることになりました。

廣戸先生も、今のスポーツ指導は形の指導ばかりだと嘆いていらっしゃいました。これは音楽も同じだと言っていいと思います。

常日頃から思っているのですが、物事を深く掘り下げていくと必ず同じことに行き当たる、ということが思いがけず証明された時間でした。

時間の過ぎるのがあっという間で、是非また続きも聞いてみたいと思います。

素晴らしい企画に心から感謝申し上げます❣️