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導入教材 バスティンピアノパーティ

ピアノの導入教材としてバスティンのピアノパーティシリーズを使っています。
私自身が子供を持つ前と後では物の見方が変化したからだと思いますが、子供の目線に立った時、バスティンは本当に優れた教材だと感じます。
五線譜から線をとって教えてしまうという発想は、よくよく考えたら度肝を抜かれます。しかし、何もかも初めてのお子さんに、読譜、鍵盤位置、リズム、指の動かし方、と様々なことを一度に教える従来の教材では、残念ながら全てについて何となくしか出来ない生徒さんが育つのも無理もないように思います。
その点、バスティンのピアノパーティAでは、右手左手の区別、指番号、高い低い真ん中という音域のワード、上がる下がるという概念、(この辺りの言葉を丁寧に説明して聴音楽典パーティでしつこくしつこくトレーニングしていくことの重要性、ものすごい奥の深さを感じます。)3つの黒鍵と2つの黒鍵、音名、ドレミの鍵盤位置(通常ドを教えてあとは数えさせるやり方が多いように見受けられますが、バスティンは全ての音を点で理解させます。なので88鍵全てがあっという間にお友達になるのです!) 4分の4拍子系のリズム、これがその内容です。
これらをしっかり学んでおくと、五線譜の楽譜も難無く弾けるようになります。パーティAとBの段階ではまだポジションについてのアドバイスは必要ですが、ポジションと指番号さえ書いてあげたら瞬時に弾けるのです。
昨年秋頃から始めた年中さんの子が、いよいよパーティAの最終部分である<まんなかCポジション>に昨日入りました。学んできた全ての事がどの位マスター出来ているかがこの時に分かります。ポジションの説明をして「弾いてみようか?」と声をかけると、サラッと弾いてしまいました。「あとは全部自力で弾けます。パーティAの私の説明はこれで終わりです。」とお話すると、お母様は驚かれていました。
教材で学んだひとつひとつのことを、繰り返し繰り返ししっかりと練習し続けてきた成果がここに来て実を結びます。少し前のブログ(高校受験の話)で書いた通り、全ての要素がしっかり落とし込めていないと、この段階から一気には進めなくなります。なので、「よくがんばってきたなぁ」と感じたレッスンとなりました。

また別なお子さん。こちらはパーティCに入ったばかり。ここからいよいよ楽譜の登場です。といっても新たなことは五線譜の線がようやく書き加えられるという事なのですが、これまた常識を覆すやり方で教えてしまうのがバスティンマジックです。大譜表の下から上まで一気に教えてしまいます。この時、パーティBでトレーニングし続けたステップとスキップ(2度と3度)で自由自在に上がったり下がったりする力がモノを言ってきます!線の音が割合速く覚えられたようでしたので、すぐに間の音も教えてしまいました。そして初のレッスンでしたので「どうでした?」と聞くと、大丈夫だったとのこと。一週間にしては上出来でした。このまましつこく練習していけばあっという間に読譜力がつくでしょう。
というわけで、初めて五線譜に書かれた教材の曲を弾いてみてもらうとこちらも難無くクリア。で出来るところが一気に宿題に出されました。

このお子さんたちは日頃の取り組みが良い例です。私も20年近くバスティンを使っているので、どの位まで落とし込む事が必要かが身にしみて分かっています。他の教材に比べると最初こそピアノのレッスンっぽくないのですが(ピアノの前にいるより机ですることの方がはるかに多いので)、そこを信じてやり続けてくださると、どんなメソッドよりも、確実な本人の力がつきます!
この子たちにも自由に何でも弾ける日が近づいているかと思うとワクワクしてきた1日でした。