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高校受験

高校受験の前期試験に合格しました!との報告を中3男子2人から受けました。この2人はどちらも大丈夫だろうと思ってはいましたが、報告を受けて本当に嬉しかったです😊
この2人はどちらも素敵なピアノを聞かせてくれる子たちです。中学校の合唱コンクールでは3年間伴奏者賞をいただいていたと記憶しています。

私はよく、『ピアノを聞けば勉強の様子が分かる』と話すのですが、これにははっきりとした根拠があります。
物事を身に付けていく段階にはざっくり分けて4段階あると思います。
①全く知らない段階
②聞いたことがある段階
③少し考えると分かる段階
④考えなくても分かる段階

物事が身につくとは、④の段階を指すのですが、多くの方は③や時に②あたりで「分かった」と思いがちで取り組みを終えたり緩めたりしてしまいます。でも、何かを通じて、物事が身に付く感覚を得たことがある人は、当然他の事でも④の段階までいかないうちは納得しません。

ピアノを人前で弾くという行為は、④の段階まで落とし込めていないと到底出来ません。実は進度や曲のレベルは関係なく、どんなにやさしい曲でも、その曲のあるべき姿を読み取って100%消化するこそが大切です。本番で上手く力を発揮できるかどうかはまた別な問題ですが、その曲の隅々までよく読み取って理解して弾くということが習慣になっていれば、自ずと勉強にもその考え方が活かされるはずです。
一週間ごとにクリアして欲しい課題を与え、その到達具合を見るという作業を何年もしていると、その子が課題にどう向き合っているのかは非常によく見えます。だからこそ、先の中学生2人の合格は確信しておりました。

ピアノが習い事として最適!と、近年脳科学者たちが声高に主張しはじめたのにはまた別な理由があるようですが、ひとつの物事をとことん突き詰めることがなぜ大切かというと、物の本質は地下水路で全て繋がっているので何に取り組んだとしても一旦その水路を掘り当てられたら他の事でも同じだからです。勉強だけが特別なわけではありませんし、勉強とスポーツだけが価値があるわけでもないのです。虫が好きで好きでたまらない子は虫を通じて、こんまりさんのように片付けが好きで好きでたまらない人は片付けを通して、必ずや哲学に行き着くのだと思うのです。

子供の頃に夢中になって遊ばせることが大切なのもそういう理由です。東大生の親御さんたちのインタビューでとても印象的で「分かっているなぁ」と感心したものがありました。「お子さんをどのように育てたんですか?」という質問に、「いたずらを途中でやめさせなかった」と答えていたのです。いたずらは悪いことだからやめさせることこそ良い教育だ、と考える方が多いかもしれませんね。でも、大人から見た子供のいたずらというのは、「これは何だろう?」という純粋な好奇心の現れであって、大人を困らせてやろうと思ってしているわけではないのです。好奇心を持って手を伸ばすと「ダメ!」と言われ続けた子が、いざ小学校に上がったとたん「勉強しろ」と言われても、好奇心がベースにあればおもしろいことの連続なはずの勉強も、大人から散々『好奇心を持ってはいけません』というメッセージを浴び続けた子にとってはもうすでに何に対しても興味を持ち得ないものになってしまっているという構図です。学ぶこと、勉強は本来楽しいものです。本当の意味で楽しさを知っている人は、その根底に好奇心があることの大切さが良く分かっています。そして、それを削いでしまう行為の恐ろしさも。

「何かに夢中になって生きる」ことこそ人生の醍醐味なのではないでしょうか?たまたま関わった人たちが、その喜びに少しでも近づいて欲しい、と心から願うばかりです。

春から高校生になる2人。これからもますます自分の世界を突き進んでいくことでしょう。そんな彼らを楽しみに見守りたいと思います。